6. 健康管理


(1)職場における健康管理の目的

 職場における健康管理は、次のようなことがが目的とされよう。
1)健康診断の実施とその結果に基ずく措置
2)健康状態に悪い影響を与える有害因子を解明し、作業方法、作業環境の改善に結びつけること
3)健康を保持増進して労働適応能力を向上させること
4)日常生活の改善も含む健康教育

 その主な内容は次のとおりである19)。
1)事業者責任として避けられないもの
 1.業業性疾病を発生させないこと
 2.業務によらない疾病であっても、業務を遂行することによってその病勢を増悪させないこと
 3.職場および寮において伝染病の集団発生をさせないこと

2)企業運営上、労務管理、福利厚生として必要なもの
 1.生活習慣病の予防
 2.疾病による休業の低減
 3.健康の保持増進(心と体の健康づくり)

 最近は、昭和30−40年代のような職業病多発の時代と異なり、職業病だけでなく作業関連疾患としての生活習慣病の予防やこころの健康、過重労働が重点となっていることが健康管理の特徴であろう。


(2)健康診断

 健康診断には次のようなものがある。
1)一般健康診断
 1.雇入時健康診断(則43条)
 2.定期健康診断(則44条)
 3.特定業務従事者健康診断(則45条、深夜業、坑内労働等則13条の14業務)
 4.海外派遣労働者健康診断(則45条の2)
 5.結核健康診断(則46条)
 6.給食従業員の検便(則47条)
 7.自発的健康診断(法66条の2、深夜業従事者)
 8.二次健康診断(労働者災害補償保険法26条2項1号)

2)業務別特殊健康診断
 1.法令によるもの(義務、塵肺、有機溶剤等8業務)
 2.通達で示されているもの(勧奨、30業務)

 一般健康診断のうち、雇入時健康診断、定期健康診断は事業場の種類や規模に関係なく全ての労働者に対して行われなければならない。それ以外の健康診断は従事業務の内容により異なる。塩酸や硝酸、黄りん等のガス、蒸気、粉じん等が発散する職場の労働者には歯科医師による健康診断を受けさせねばならない(法66条、則48条)。

 また、常時50人以上の労働者を使用する事業者が則44条、則45条、則48条の健康診断を行った時は遅滞なく定期健康診断結果報告書(様式第6号)を所轄の労働基準監督署に提出しなければならない(則52条)。

 法66条の2に基づく自発的健康診断は、深夜業に従事する労働者の健康管理を充実するためのものである。自己の健康に不安を持つ深夜業従事者は、事業者の実施する次回の特定業務従事者の健康診断を待たず、自らの判断で受診した健康診断結果を事業者に提出することができる。

 この自発的健康診断に対しては、助成金制度があり、健診費用の4分の3の費用の助成(限度額7500)を受けることができる。健診項目は定期健康診断の項目と同じで、助成対象は、過去6ヶ月を平均して月4回以上の深夜業に従事した労働者である。詳しくは最寄りの労働基準監督署か各都道府県産業保健推進センターに問い合わせて頂きたい。

 事業者は、健康診断の結果、異常所見が見つけられた労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師または歯科医師の意見を聴取しなければならない(法66条の4)。聴取された意見は健康診断個人票に記載することとなっている。


(3)二次健康診断

 近年、定期健康診断における有所見率が高まっているなど、健康状態に問題のある労働者が増加している。その中で、業務による過重負荷により基礎疾患が自然経過を超えて急激に著しく増悪し、脳血管疾患及び心臓疾患を発症して死亡または障害状態に至ったものとして労災認定された件数は、増加傾向にある。脳および心臓疾患は生活習慣病といわれ、偏った生活習慣に起因することが多い疾病であるが、業務に起因するストレスや過重な負荷により発症する揚合もある。

 特に、高血圧、高脂血症、高血糖、肥満は「死の四重奏」とも言われ、これらを併せ持つ場合はきわめて危険度が高い。

 脳および心臓疾患の発症は、本人やその家族はもちろん、企業にとっても重大な問題であり、社会的にも様々な問題を起している。脳および心臓疾患は、安衛法で定める定期健康診断等により、その発症の原因となる危険因子の存在を事前に把握し、適切な保健指導を行うことにより発症を予防することが可能である。

 こうしたことから、労災保険法26条2項1号の規定に基づき二次健康診断等給付が行われることとなった。給付条件、給付内容は次の通りである20)。

1)給付条件
 一次健康診断の結果、次に掲げる検査のすべての項目において医師による異常の所見が認められた場合。

1.血圧の測定
2.血中脂質の検査
 次の検査のいずれか1つ以上とする。
 ・血清総コレステロール
 ・高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)
 ・血清トリグリセライド(中性脂肪)
3.血糖検査
4.BMI(肥滴度)の測定(BMI=体重(kg)/身長(m)2)

 「異常の所見」とは、検査の数値が高い場含(高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)では低い場合)で、「異常なし」以外の所見を指す。

 ただし、一次健康診断の担当医が上の4つの検査については異常なしの所見と診断した場合であっても、産業医や地域産業保健センターの医師、小規模事業場が共同選任した産業医の要件を備えた医師等が、一次健康診断の担当医が異常なしの所見と診断した検査の項目について、その検査を受けた労働者の就業環境等を総合的に勘案し異常の所見が認められると診断した場合には、産業医等の意見を優先し、当該検査項目については異常の所見があるものとする。

2)給付内容

二次健康診断項目
 1.空腹時の血中グルコース(ブドウ糖)の量の検査(空腹時血糖値検査)
 2.ヘモグロビンA1c検査(一次健康診断において当該検査を行った場合を除く)
 3.負荷心電図検査または胸部超音波検査(心エコー検査)
 4.頸部超音波検査(頸部エコー検査)
 5.微量アルブミン尿検査(一次健康診断における尿中の蛋白の有無の検査において、疑陽性(±)または弱陽性(+)の所見があると診断された場合に限る)

特定保健指導
 特定保健指導とは、二次健康診断の結果に基づき、脳および心臓疾患の発生の予防を図るため、面接により行われる医師、保健師による保健指導のことで、次の指導の全てを行うものである。
 1.栄養指導
 2.運動指導
 3.生活指導

 なお、二次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる労働者については、療養を行うことが必要であるため、この二次健康診断に係る特定保健指導給付は行われない。

3)給付回数
 二次健康診断は、1年度につき1回に限り、特定保健指導は、二次健康診断ごとに1回に限る。したがって、同一年度内に1人の労働者に対して2回以上の定期健康診断等を実施している事業場であっても、一次健康診断において給付対象所見が認められる場合にその年度内に1回に限り支給される。

 なお、一次健康診断を実施した次の年度にその一次健康診断に係る二次健康診断等給付を支給することは可能である。ただしその場合は、その年度に実施した定期健康診断等について、同一年度内に再度二次健康診断等給付を支給することは認められない。

4)給付方法
 労災病院または都道府県労働局長が指定する病院あるいは診療所(「健診給付病院等」という)において、直接、二次健康診断および特定保健指導を給付(現物給付)を行う。なお、二次健康診断および特定保健指導を給付した健診給付病院等は、給付に要した費用を二次健康診断等給付を請求した労働者の所属する事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長に請求する。


(4)健康診断実施後の事後措置

 事業者は、法66条の4による医師または歯科医師の意見を勘案して、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、その労働者の実情を考慮して適切な措置を講じなければならない。その手順と措置すべき内容は次の通りである21)。

表6−1 健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置の手順

内容
1 健康診断を実施し、診断区分(異常なし、要観察、要医療等)を決定する。
2 二次健康診断の対象となる労働者を把握し、それを受診勧奨し、診断区分に関する医師の判定を受ける。
3 健康診断の結果について医師から意見を聞く。

 医師から意見を聞くに当たっては、産業医の選任義務のある事業所については産業医から意見を聞くことが望ましい。事業者は、医師から適切に意見を聞くために、必要に応じて医師に対し作業環境、労働時間、労働密度、深夜業の回数と時間、作業態様、作業負荷の状況、過去の健康診断の結果等の情報及び職場巡視の機会を提供すること、あるいは健康診断の結果だけでは労働者の心身の状態を判断する情報が不十分の場合は、その労働者との面接の機会を提供することが望ましい。

 健康診断の結果に基づく就業区分およびその内容を表6−2に示す。

表6−2 健康診断結果に基づく就業区分
就業区分 就業上の措置の内容

内容



通常の勤務でよいもの なし



勤務に制限を加える必要のあるもの 勤務による負荷を軽減するため
 1)労働時間の短縮
 2)出張の制限
 3)時間外労働の制限
 4)労働負荷の制限
 5)作業の転換
 6)就業場所の変更
 7)深夜業の回数の減少
 8)昼間勤務への転換
等の措置を講じる。


勤務を休む必要のあるもの 療養のため、休暇、休職等により一定期間勤務させない措置を講じる。


(5)就業上の措置の決定

 事業者は、健康診断に基づく措置を決定するに当たり、予め労働者の意見を聞き、十分な話し合いを通じて労働者の了解が得られるよう努める。必要に応じて医師の同席のもとで労働者の意見を聞くことが望ましい。

 作業環境管理、作業管理に関連する事項については安全衛生委員会で調査審議する。また、就業上の措置を実施し、あるいは解除・変更しようとする時は健康管理部門と人事労務部門との連携に留意し、特に当該労働者の職場の管理監督者の理解を得ることが不可欠である。

 就業上の措置は労働者の健康を保持することが目的であり、健康障害を理由に解雇してはならない。


(6)保健指導

 事業者は健康診断の結果を労働者に通知すること(法66条の6)、特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者に対しては医師または保健師による保健指導を行うよう努めること(法66条の7)、一方、労働者は健康診断の結果通知、保健指導を利用して自らの健康保持に努めること(法66条の7)が求められている。

 保健指導の内容は次のようなものである21)。
1)日常生活面での指導
2)健康管理に関する情報提供
3)再検査または精密検査の受診の勧奨
4)治療のための受診の勧奨
5)深夜業従事者に対しては、睡眠指導、食生活指導を重視する


(7)再検査または精密検査の取扱い

 事業者は、就業上の措置を決定するに当たっては、できる限り詳しい情報に基づいて行うことが必要である。再検査または精密検査を行う必要のある労働者に対しては、その再検査または精密検査受診を勧奨する。さらに、意見を聴く医師等にその検査結果を提出するよう働きかける。

 再検査、精密検査は、診断の確定や症状の程度を明らかにするものであり、一律には事業者にその実施が義務付けられているものではない。しかし、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、特定化学物質等障害予防規則、高気圧作業安全衛生規則および石綿障害予防規則に基づく特殊健康診断として規定されているものについては、事業者にその実施が義務付けられている。


(8)プライバシーの保護

 事業者は、個々の労働者の健康に関する情報が、個人のプライバシーに属するものであることから、その保護に特に留意する必要がある。特に就業上の措置の実施に当たって、関係者へ提供する情報の範囲は必要最小限とする。

 二次健康診断の結果については、事業者にその保存が義務付けられているものではないが、継続的に健康管理を行うことができるよう、保存することが望ましい。保存に当たっては、当該労働者の同意を得ることが必要である。

 健康診断の実施の事務に従事した人は、その実施に関して知り得た労働者の心身の欠陥その他の秘密を漏らしてはならない(法104条)。

 雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項は、厚生労働省により次のように示されている22)。

健康情報の取扱いについて事業者が留意すべき事項

1 個人情報の保護に関する法律第16条および第23条第1項に規定する本人の同意に関する事項

 (1) 事業者が、労働者から提出された診断書の内容以外の情報について医療機関から健康情報を収集する必要がある場合、事業者から求められた情報を医療機関が提供することは、法第23条の第三者提供に該当するため、医療機関は労働者から同意を得る必要がある。この場合においても、事業者は、あらかじめこれらの情報を取得する目的を労働者に明らかにして承諾を得るとともに、必要に応じ、これらの情報は労働者本人から提出を受けることが望ましい。

 (2) また、事業者が、健康保険組合等に対して労働者の健康情報の提供を求める場合、事業者と健康保険組合等とは、異なる主体であることから、法第23条の第三者提供に該当するため、健康保険組合等は労働者(被保険者)の同意を得る必要がある。この場合においても、事業者は、あらかじめこれらの情報を取得する目的を労働者に明らかにして承諾を得るとともに、必要に応じ、これらの情報は労働者本人から提出を受けることが望ましい。

  ただし、事業者が健康保険組合等と共同で健康診断を実施する場合等において、法第23条第4項第3号の要件を満たしている場合は、当該共同利用者は第三者に該当しないため、当該労働者の同意を得る必要はない。


2 法第20条に規定する安全管理措置及び法第21条に規定する従業者の監督に関する事項

 (1) 健康診断の結果のうち診断名、検査値等のいわゆる生データの取扱いについては、その利用に当たって医学的知識に基づく加工・判断等を要することがあることから、産業医や保健師等の看護職員に行わせることが望ましい。

 (2) 産業保健業務従事者以外の者に健康情報を取り扱わせる時は、これらの者が取り扱う健康情報が利用目的の達成に必要な範囲に限定されるよう、必要に応じて健康情報を適切に加工した上で提供する等の措置を講ずること。


3 法第31条に規定する苦情の処理に関する事項

  指針第3の8に定める苦情及び相談を受け付けるための窓口については、健康情報に係る苦情及び相談に適切に対応するため、必要に応じて産業保健業務従事者と連携を図ることができる体制を整備しておくことが望ましい。


4 その他事業者が雇用管理に関する個人情報の適切な取扱いを確保するための措置を行うに当たって配慮すべき事項

 (1) 事業者は、健康診断等を医療機関に委託することが多いことから、健康情報についても外部とやり取りをする機会が多いことや、事業場内においても健康情報を産業保健業務従事者以外の者に取り扱わせる場合があること等にかんがみ、あらかじめ、雇用管理指針第3の6に掲げるもののほか、以下に掲げる事項について事業場内の規程等として定め、これを労働者に周知するとともに、関係者に当該規程に従って取り扱わせることが望ましい。

  (a) 健康情報の利用目的に関すること

  (b) 健康情報に係る安全管理体制に関すること

  (c) 健康情報を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う健康情報の範囲に関すること

  (d) 健康情報の開示、訂正、追加又は削除の方法(廃棄に関するものを含む。)に関すること

  (e) 健康情報の取扱いに関する苦情の処理に関すること

 (2) 事業者は、(1)の規程等を定めるときは、衛生委員会等において審議を行った上で、雇用管理指針第3の9 (1)に定めるところにより労働組合等に通知し、必要に応じて協議を行うことが望ましい。

 (3) 事業者は、安衛法第66条第1項及び第2項等の規定に基づき行われた健康診断を受けた労働者等に対し、遅延なく、その結果を通知すること。

 (4) HIV感染症やB型肝炎等の職場において感染したり、蔓延したりする可能性が低い感染症に関する情報や、色覚検査等の遺伝情報については、職業上の特別な必要性がある場合を除き、事業者は、労働者等から取得すべきでない。

 (5) 労働者の健康情報は、医療機関において「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」に基づき取り扱われ、また、健康保険組合において「健康保険組合等における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」に基づき取り扱われることから、事業者は、特に安全管理措置等について、両ガイドラインの内容についても留意することが期待されている。


(9)喫煙ルームの設計

 受動喫煙による健康への悪影響については、流涙、鼻閉、頭痛等の諸症状や呼吸抑制、心拍増加、血管収縮等の生理学的反応等に関する知見等が得られており、より適切な受動喫煙防止対策が必要とされている。

 健康増進法25条によれば「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。」と規定されている。

 事業所内を全面的に禁煙にするのか分煙するのか議論の分かれるところであるが、ここでは分煙の一つとして喫煙ルームの設計を考えてみる。

 職場における喫煙対策のためのガイドライン23)によれば「喫煙室等から非喫煙場所へのたばこの煙やにおいの流入を防止するため、喫煙室等と非喫煙場所との境界において、喫煙室等に向かう気流の風速を0.2m/s以上とするように必要な措置を講ずること」とある。これは、喫煙室の入り口の風速が毎秒0.2m以上になるよう換気せよ、さもなくば内部の煙が室外へ流れ出る、ということを意味している。

 喫煙室を設計する場合、例えば、図6−1のように幅1m、高さ2mの入り口を作り、ドアがなく開放状態である時の必要排風量Q1は次のようになる。



Q1 (m3/min)≧入り口の開口面積×開口面の風速
        ≧60×1m×2m×0.2m/s
        ≧24

 つまり、1分間に24m3以上の空気を吸い込むように排風すれば、入り口の空気の流速が規定の0.2m/sになることを示す。

 天井に換気扇だけを取り付け、そこから1mの距離にあるたばこの煙を吸引する場合の排風量を考えよう。必要な排風量Q2は次のようになる。

Q2 (m3/min) ≧60×2πX2×Vc
         ≧60×2π×1×1×0.2
         ≧75

 なお、上の計算式の中の60という数値は、気流の速度が秒速で与えられているために1分間当たりの空気量に直すための係数である。

Q1とQ2の比をとると

Q1/Q2 = 24/75 ≒ 1/3

 すなわち、単に天井に換気扇をつけるだけよりは、部屋を囲うだけで吸引空気量(≒電気エネルギー)は約3分の1ですむことを示唆している。部屋を区切るためのパーティションの購入等設置費用と単なる電気代を天秤にかけると費用的にはな大きなメリットはないように思えるが、有害物質を拡散させず、労働者の心身への影響を考えれば、喫煙室を設置することは必要な措置だと思われる。

 図6−1のような喫煙室を作るとして、換気扇が何個必要か考えてみよう。通常、換気扇の風量は1時間当たりの値で示されるので、Q1をさらに60倍すると1時間当たりの必要風量が得られる。

Q (m3/h) ≧ 24×60
      ≧ 1440

 カタログデータによると一般家庭用の換気扇の排風量はおおよそ1時間当たり300−700m3くらいである。排風量が中くらいの1時間当たり500m3の換気扇を購入するとすると、

 必要な換気扇の個数=1440/500 = 2.88

 従って、中程度の換気扇を3個設置すると喫煙室の開口面において0.2m/sec以上の風速が得られる計算になる。

 それにしても3個とは結構多い台数である。静かな事務室などに隣接した喫煙室で3個も換気扇を同時に回すと騒音の問題が新に出てくる可能性がある。排風量は給気口の面積、すなわちドアのような開口面の大きさに影響される。開口面が小さくなればなるほどそこを通過する風速は速くなる。従って、ドアを閉じれば換気扇は1個ですむ。しかし、この場合、0.2m/sという制御風速は得られるが、空気の換気量は少なくなる。つまり、喫煙者は喫煙室の中で主流煙と副流煙を同時に吸うことになろう。早い話、喫煙者が喫煙を止めてくれればいいだけのことではあるが。

 いずれにしても、換気扇の必要個数は、部屋の大きさにかかわらず換気扇の排風能力と開口面の面積の2つの要因で決まる。