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粉じんによる健康障害とその予防対策 |
(1)じん肺とは 不溶性あるいは難溶性の粉じん吸入することによって起こる肺線維症をいう。じん肺法第二条では「粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病をいう」と定義されている。この変化は不可逆性で、いったん進行した変化はもとの健康な状態に戻ることはない。 (2)自覚症状 せき、痰、呼吸困難、心悸亢進、胸痛、熱感、脱力感、盗汗(寝汗) (3)じん肺の合併症 じん肺にかかると種々の合併症にかかりやすくなるが、これらの中でじん肺と密接な関係のある疾病は次の5つとされている。 @肺結核、 A結核性胸膜炎、 B続発性気管支炎 C続発性気管支拡張症、 D続発性気胸 (4)じん肺の種類、起因物質、発生職場 |
| (出典 : 鎌田武信監修 「産業医ハンドブック」 南江堂 東京 1994) | ||
| じん肺の種類 | 起因物質 | 発生職場 |
| 珪肺 | 遊離珪酸(石英) | 採石業(掘削、裁断、加工等)、採鉱業(金属鉱山、炭坑等)、墜道掘削、その他の開発工事作業、窯業(陶磁器、耐火レンガ、ガラス製造等)、鋳物業、金属製錬業、研磨業、製鉄業、セメント製造業、船舶製造業、機械器具製造業、珪酸化学工業、他 |
| 石綿肺 | 石綿(アスベスト) クロソタイル クロシドライト アモサイト |
石綿加工業(開綿、紡織等)、石綿セメント製造業(石綿スレート、石綿高圧管等)、断熱性石綿製品、ブレーキライニング製造等、その他石綿製品取扱作業(建造物、船舶等の補修、解体作業等) |
| 滑石肺 | 滑石(タルク) | 滑石粉砕作業、ゴム工場等 |
| 蝋石肺 | 蝋石 | ガラス溶融用坩堝製造(蝋石粉砕、調合等) |
| 珪藻土肺 | 珪藻土 | 珪藻土採掘、粉砕作業等 |
| 陶土肺 | カオリナイト(クレー) | 乾燥カオリンの粉砕、袋詰め作業等(陶磁器用、製紙コーティング) |
| アルミニウム肺 | アルミニウム | アルミニウム粉末製造業(塗料原料)等 |
| アルミナ肺 | アルミナ(酸化アルミニウム) | アルミニウム再生工場(熔滓の粉砕、節別作業)等 |
| ボーキサイト肺 | 酸化アルミニウムと珪酸 | ボーキサイト精錬作業 |
| 鉄肺 溶接工肺 | 赤鉄鉱 酸化鉄と珪酸 | 赤鉄鉱採鉱作業 電気溶接作業、ガス切断、グラインダー研磨、製鋼作業等 |
| 硫化鉱肺 | 硫化(鉄)鉱と珪酸 | 硫化鉱採鉱作業、硫酸工場原料粉砕作業等 |
| 硫化焼鉱肺 | 硫化鉱の焼滓 | 硫酸工場焼鉱取扱作業 |
| 黒鉛肺 | 黒鉛 | 黒鉛精錬工場、電極工場 |
| 炭素肺 | カーボンブラック (無晶型炭素) |
製墨工場、カーボンブラック工場 |
| 活性炭肺 | 活性炭 | 活性炭製造工場 |
| 炭肺 | 炭粉、石炭粉 | 木炭、石炭の粉砕作業(練炭製造等) |
| 炭坑夫肺 | 石炭粉塵と珪酸 | 炭坑の採炭、掘進、支柱作業等 |
| ベリリウム肺 | ベリリウム ベリリウム化合物 |
ベリリウム精錬、航空機製造工程、原子炉等 |
| (5)健康診断 粉じん作業歴の調査、胸部X線直接撮影検査、胸部臨床検査(既往歴の調査、胸部の自覚症状および他覚所見の有無の検査)、肺機能検査(スパイロメトリーおよびフローボリューム曲線による検査、動脈血ガス分析)、合併症(肺結核、する。 なお、一次検査は粉じん作業歴調査と胸部X線直接撮影検査のみである。 じん肺の定期健康診断の頻度は次のとおり。 |
| 粉じん作業従事との関連 | 塵肺管理区分 | 頻度 |
| 常時粉じん作業に従事 | 1 | 3年以内ごとに1回 |
| 2、3 | 1年以内ごとに1回 | |
| 常時粉じん作業に従事したことがあり、現に非粉じん作業に従事 | 2 | 3年以内ごとに1回 |
| 3 | 1年以内ごとに1回 |
| (6)じん肺の管理区分、就業上の措置 じん肺の管理区分は都道府県労働基準局長が決定する。 |
| 管理区分 | 所見の内容 | 就業上の措置 |
| 管理1 | じん肺の所見がないと認められるもの。 | 特になし |
| 管理2 | エックス線写真の像が第1型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの。 | 粉じん暴露の低減措置 |
| 管理3イ | エックス線写真の像が第2型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの。 | 粉じん暴露の低減措置 作業転換の努力義務 (勧奨) |
| 管理3ロ | エックス線写真の像が第3型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る)で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの。 | 作業転換の努力義務 作業転換の義務 (指示) |
| 管理4 | (1)エックス線写真の像が第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1をこえるものに限る)と認められるもの。 (2)エックス線写真の像が第1型、第2型、第3型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る)で、じん肺による著しい肺機能の障害があると認められるもの。 |
療養 |
| 管理2又は3で合併症罹患 | 療養 | |
| (7)じん肺管理区分決定の流れ |
| (8)予防対策 1)粉じんが出ない原材料への転換 2)粉じん発生の少ない生産工程、作業方法等への改善 3)密閉、局所排気装置の設置、湿式化等の発生源対策 4)特定粉じん作業以外の屋内粉じん作業における全体換気装置の設置 5)作業環境の評価 6)呼吸保護具の適切な使用 7)労働衛生教育 8)健康診断 9)作業場の清掃 |