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有機溶剤中毒健康診断と中毒予防対策



1、 有機溶剤健康診断

(1) 有機溶剤の毒性

1) 揮発性が高いため気中濃度は容易に上昇する。
2) 体内に取り込まれた有機溶剤は脂質に富む臓器に溶けやすく、高濃度の場合、多くの有機溶剤は脳神経に取り込まれ、麻酔作用を示す。
3) 一般的に高濃度暴露による急性中毒では麻酔症状が主症状としてみられるが、低濃度慢性暴露では頭痛、頭重、疲労感、倦怠感、めまい、イライラ感、吐き気、食欲不振などの自覚症状とともに末梢神経炎、肝機能障害、白血球減少のような特異な他覚症状が出現する。

(2) 有機溶剤健康診断
(雇い入れ時、当該業務への配置替え時、その後6ケ月以内毎に1回定期)

1) 以下の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
a) 業務の経歴の調査
b) 既往歴の調査
 ・有機溶剤による健康障害
 ・有機溶剤による自覚症状及び他覚症状
 ・有機溶剤の代謝物の検査結果
 ・尿中の蛋白の有無
 ・血色素量、赤血球数、GOT、GPT、γ-GTP、眼底検査の所見
 ・貧血、肝機能、眼底、腎機能(尿中蛋白の有無の検査を除く)、
 ・神経内科学的検査の所見
c) 有機溶剤による自覚症状または他覚症状と通常認められる症状の有無の検査
d) 尿中の蛋白の有無の検査

2) 次の有機溶剤を取り扱う有機溶剤業務に関しては、それに応じた項目について医師による健康診断を行うこと。
(雇い入れ時、当該業務への配置替え時、その後6ケ月以内毎に1回定期)

有機溶剤等
検査項目
エチレングリコールモノエチルエーテル
 (別名セロソルブ)
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
 (別名セロソルブアセテート)
エチレングリコールモノブチルエーテル
 (別名ブチルセロソルブ)
エチレングリコールモノメチルエーテル
 (別名メチルセロソルブ)
上のいずれかを重量の5%を超えて含有するもの
血色素量および赤血球数
オルト-ジクロロベンゼン
クレゾール
クロルベンゼン
クロロホルム
四塩化炭素
1,4-ジオキサン
1,2-ジクロルエタン(別名二塩化エチレン)
1,2-ジクロルエチレン(別名二塩化アセチレン)
1,1,2,2-テトラクロルエタン(別名四塩化アセチレン)
上のいずれかを重量の5%を超えて含有するもの
GOT、GPT、γ-GTP
(以下肝機能検査という)
キシレン 尿中メチル馬尿酸
N・N-ジメチルホルムアミド
上を重量の5%を超えて含有するもの
肝機能検査
尿中N-メチルホルムアミド
スチレン
上を重量の5%を超えて含有するもの
尿中マンデル酸
テトラクロルエチレン(別名パークロルエチレン)
トリクロルエチレン
上のいずれかを重量の5%を超えて含有するもの
肝機能検査
尿中トリクロル酢酸
 または総三塩化物
1,1,1-トリクロルエタン
上を重量の5%を超えて含有するもの
尿中トリクロル酢酸
 または総三塩化物
トルエン
上を重量の5%を超えて含有するもの
尿中馬尿酸
二硫化炭素
上を重量の5%を超えて含有するもの
眼底検査
ノルマルヘキサン
上を重量の5%を超えて含有するもの
尿中2・5ヘキサンジオン

(3) 定期健康診断で、有機溶剤の尿中代謝産物の検査を受けたものについて、医師が必要でないと認めるときはその項目の検査を省略することができる。

尿中代謝物の検査の省略規定
 1) 前回の健康診断を起点とする連続過去3回の有機溶剤健康診断において、異常と思われる所見が認められないこと。
 2) 尿中の有機溶剤の代謝物の検査については、前回の当該検査を起点とする連続過去3回の検査の結果、明らかな増加傾向や急激な増減がないと判断されること。
 3) 今回の健康診断において、上記の自覚症状または他覚症状の全てについて、その有無を検査し、その結果、異常と思われる所見がないこと。
 4) 作業環境の状況及び作業の状態などが従前と変化がなく、かつその管理が適切に行われていると判断されること。

(4) (2-1)の健康診断を受けたもので、医師が必要と認めるもについては、(2-1)、(2-2)の項目の他に、次の項目の全部または一部について、医師による健康診断を行わなければならない。

 1) 貧血検査、肝機能検査、腎機能検査(尿中の蛋白の有無の検査を除く)、神経内科学的検査
 2) 医師が必要と判断した場合に実施しなければならない検査項目
  a) 作業条件
  b) 貧血検査 (上記の他にヘマトクリット値、網状赤血球数等)
  c) 肝機能検査(上記の他に血清総蛋白、ビリルビン、アルカリフォスファターゼ、乳酸脱水素酵素等)
  d) 腎機能検査 (尿中蛋白量、尿中糖量、尿比重、尿沈渣顕微鏡検査等)
  e) 神経内科学的検査 (筋力検査、運動機能検査、腱反射の検査、感覚検査等)

(5) 自覚症状、他覚症状は以下の項目を全部チェックする。
 1) 頭重
 2) 頭痛
 3) めまい
 4) 悪心
 5) 嘔吐
 6) 食欲不振
 7) 腹痛
 8) 体重減少
 9) 心悸亢進
 10) 不眠
 11) 不安感
 12) 焦燥感
 13) 集中力の低下
 14) 振戦
 15) 上気道もしくは目の刺激症状
 16) 皮膚もしくは粘膜の異常
 17) 四肢末端部の疼痛
 18) 知覚異常
 19) 握力減退
 20) 膝蓋腱、アキレス腱反射異常
 21) 視力低下
 22) その他

2、 予防対策
(1) 使用している有機溶剤の名前と化学的・物理的性質を知っておく
   (化学物質安全性データシート(MSDS)を入手する)
(2) 作業環境測定を行う
(3) 室内作業では排気装置、換気装置を使う
(4) 有機溶剤用の防毒マスクを使う
(5) 作業姿勢や作業時間を適切にする
(6) 健康診断を受けて有機溶剤の影響があるかないかを調べる
(7) 保管は有機溶剤の種類により色分する
(8) 作業主任者を選任する
(9) 有機溶剤中毒予防規則を理解しておく