| 以下は2008年4月から始まる特定健康診査と労働安全衛生法上の健康診断に関連する記述を厚生労働省の「手引き」から引用したものです。 (2008/01/23 Ver1.4) 特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き 平成19年7月 厚生労働省保険局 |
| 1-2 特定健康診査とは 1-2-1 定義 平成20年4月から、医療保険者(国保・被用者保険)が、40〜74歳の加入者(被保険者・被扶養者)を対象として、毎年度、計画的に(特定健康診査等実施計画に定めた内容に基づき)実施する、内臓脂肪型肥満に着目した検査項目(2-1に整理)での健康診査を、「特定健康診査」という。 <高齢者の医療の確保に関する法律> 第二十条 保険者は、特定健康診査等実施計画に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、四十歳以上の加入者に対し、特定健康診査を行うものとする。ただし、加入者が特定健康診査に相当する健康診査を受け、その結果を証明する書面の提出を受けたとき、又は第二十六条第二項の規定により特定健康診査に関する記録の送付を受けたときは、この限りでない。 |
| 1-3 特定保健指導とは 1-3-1 定義 平成20年4月から、医療保険者(国保・被用者保険)が、特定健康診査の結果により健康の保持に努める必要がある者に対し、毎年度、計画的に(特定健康診査等実施計画に定めた内容に基づき)実施する、動機付け支援(3-2に整理)・積極的支援(3-3に整理)を、「特定保健指導」という*1。 <高齢者の医療の確保に関する法律> 第二十四条 保険者は、特定健康診査等実施計画に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、特定保健指導を行うものとする。 |
| 1-3-2 対象者 @対象者の定義 特定健康診査の結果により健康の保持に努める必要がある者が対象者となる。 特定健康診査の結果により健康の保持に努める必要がある者とは、特定健康診査の結果、腹囲が85cm以上(男性)・90cm以上(女性)の者、または腹囲が85cm未満(男性)・90cm未満(女性)の者でBMIが25以上の者のうち、血糖(空腹時血糖が100mg/dl以上、またはHbA1cが5.2%以上)・脂質(中性脂肪150mg/dl以上、またはHDLコレステロール40mg/dl未満)・血圧(収縮期130mmHg以上、または拡張期85mmHg以上)に該当する者(糖尿病、高血圧症または脂質異常症の治療に係る薬剤を服用している者を除く*2)である。 次の図表にあるように、追加リスクの多少と喫煙歴の有無により、動機付け支援の対象者となるのか積極的支援の対象者となるのかが異なる。 なお、腹囲の測定に代えて内臓脂肪面積の測定(CTスキャン等で測定した腹部の断面画像にて内臓脂肪の占める断面積)を行う場合には、「腹囲が基準値以上の者」は「内臓脂肪面積が100平方cm以上の者」と読み替える。 |
図表6:特定保健指導の対象者(階層化)
| 腹囲 | 追加リスク | C喫煙歴 | 対象*3 | |
| @血糖 A脂質 B血圧 |
40-64 歳 | 65-74 歳 | ||
| ≧85cm(男性) ≧90cm(女性) |
2つ以上該当 | ------ | 積極的支援 | 動機付け支援 |
| 1つ該当 | あり | |||
| なし | ||||
| 上記以外で BMI≧25 |
3つ該当 | ------ | 積極的支援 | 動機付け支援 |
| 2つ該当 | あり | |||
| なし | ||||
| 1つ該当 | ------ | |||
| (注)喫煙歴の斜線欄は、階層化の判定が喫煙歴の有無に関係ないことを意味する。 *1 保健指導は情報提供も含めた3種類という定義付けが「標準的な健診・保健指導プログラム」において為されているが、高齢者の医療の確保に関する法律の省令・告示等においては、情報提供は特定健康診査の実施結果通知と併せて行うものとし、実施率の算定等において特定保健指導には含めない。 *2 逆に保健指導判定値だけではなく受診勧奨判定値をも超えている者でも服薬・受療等を行っていない場合は特定保健指導の対象者となる。この時、医療保険者(の医師、保健師または管理栄養士等)は、健診結果(検査値や健診機関の医師の判断結果等)に基づき、特定保健指導を実施するか否かを判断する。 *3 年齢区分は、健診・保健指導の対象年齢同様、実施年度中に達する年齢とする(実施時点での年齢ではない) |
| 2-2 他の健診との関係 2-2-1 労働安全衛生法・学校保健法等 @他の法令に基づく健診の優先 高齢者の医療の確保に関する法律では、労働安全衛生法に基づく健康診断(雇入時の健康診断及び定期健康診断。以下「事業主健診」と表記)等他の法令に基づき行われる健康診断(学校保健法第8条に基づく職員の健康診断、介護保険法第135条の38の地域支援事業における生活機能評価等が考えられる)は、特定健康診査よりも実施を優先することとしており、例えば事業者であれば、引き続き事業主健診の実施義務を有する。 よって、医療保険者は、事業者から事業主健診の記録の送付を受ける等、実施義務者等から健診結果を受領していれば(詳細は7-2-5を参照のこと)、特定健康診査を実施したことに代えられる(実施義務は免除)。但し、特定健康診査の基本的な健診の項目について(特に階層化に必要な検査項目は必要不可欠である)記録されていることが前提(項目が欠損している場合は、欠損分については医療保険者にて追加実施することが必要)となる。 他の法令に基づく健診が優先されることから、他の健診と特定健康診査とを同時に実施する場合、特定健康診査と重複する健診項目の費用は、他の健診が負担することとなる。また、現状でも一部の医療保険者で行われているが、医療保険者が事業主健診の実施委託を受ける場合は、事業主健診部分の実施費用は事業主負担となる。 |
| <高齢者の医療の確保に関する法律> 第二十条 保険者は、特定健康診査等実施計画に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、四十歳以上の加入者に対し、特定健康診査を行うものとする。ただし、加入者が特定健康診査に相当する健康診査を受け、その結果を証明する書面の提出を受けたとき、又は第二十六条第二項の規定により特定健康診査に関する記録の送付を受けたときは、この限りでない。 第二十一条 保険者は、加入者が、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)その他の法令に基づき行われる特定健康診査に相当する健康診断を受けた場合又は受けることができる場合は、厚生労働省令で定めるところにより、前条の特定健康診査の全部又は一部を行ったものとする。 2 労働安全衛生法第二条第三号に規定する事業者その他の法令に基づき特定健康診査に相当する健康診断を実施する責務を有する者(以下「事業者等」という。)は、当該健康診断の実施を保険者に対し委託することができる。この場合において、委託をしようとする事業者等は、その健康診断の実施に必要な費用を保険者に支払わなければならない。 |
A健診項目の包含関係 事業主健診や学校保健法の健診項目は、特定健康診査の基本的な健診の項目と一致しており、この他にX線撮影・聴力等の事業主健診独自の項目がある(図表10)。 医療保険者は、事業主健診の結果データを受領することから、事業主健診や学校保健法の健診で実施されなかった特定健康診査の詳細な健診の項目の一部(眼底検査等)については、事業主等が健診を実施する際に医療保険者が当該健診機関に詳細な健診の項目の実施を委託(委託するとは言え、必ず実施するということではなく医師の判断により実施するのが前提)しない限りは、事業主・学校等からのデータ受領分にはこれらの特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き健診結果が医師の判断に関係なく含まれないこととなる。 |
図表10:他の健診の項目
| 項目名 | 高齢者 医療確保法 |
労働安全 衛生法 |
学校保健法 | |
| 身体計測 | 身長 | ○ | ○ | ○ |
| 体重 | ○ | ○ | ○ | |
| BMI | ○ | ○ | ○ | |
| 腹囲 | ○ | ○ | ○ | |
| 業務歴 | ○ | ○ | ||
| 既往歴 | ○ | ○ | ○ | |
| 自覚症状 | ○ | ○ | ○ | |
| 他覚症状 | ○ | ○ | ○ | |
| 血圧等 | 血圧(収縮期/拡張期) | ○ | ○ | ○ |
| 生化学検査 | 中性脂肪 | ○ | ○ | ○ |
| HDLコレステロール | ○ | ○ | ○ | |
| LDLコレステロール | ○ | ○ | ○ | |
| AST(GOT) | ○ | ○ | ○ | |
| ALT(GPT) | ○ | ○ | ○ | |
| γ-GT(γ-GTP) | ○ | ○ | ○ | |
| 血糖検査 | 空腹時血糖* | ● | ● | ● |
| HbA1c | ● | ● | ● | |
| 尿検査 | 尿糖 | ○ | ○ | ○ |
| 尿蛋白 | ○ | ○ | ○ | |
| 血液学検査 | ヘマトクリット値 | □ | ||
| 血色素量[ヘモグロビン値] | □ | ○ | ○ | |
| 赤血球数 | □ | ○ | ○ | |
| 生理学検査 | 心電図 | □ | ○ | ○ |
| 胸部エックス線検査 | ○ | ○ | ||
| 喀痰検査 | □ | □ | ||
| (ガフキー) | □ | □ | ||
| 上部消化管エックス線 | ○ | |||
| 視力 | ○ | ○ | ||
| 聴力 | ○ | ○ | ||
| 眼底検査 | □ | |||
| その他 医療保険者 が任意に 行う検査 (主なもの) |
CRP | |||
| 血液型 | ||||
| 梅毒反応 | ||||
| HBs抗原 | ||||
| HCV抗体 | ||||
| 便潜血 | ||||
| PSA(前立腺特異抗原) | ||||
| 医師の判断 | 医師の診断(判定) | ○ | ○ | ○ |
| 医師の意見 | ○ | ○ | ||
| 質問票 | 服薬 | ○ | ||
| 既往歴 | ☆ | ○ | ||
| 貧血 | ☆ | |||
| 喫煙 | ○ | |||
| 20歳からの体重変化 | ☆ | |||
| 30分以上の運動習慣 | ☆ | |||
| 歩行又は身体活動 | ☆ | |||
| 歩行速度 | ☆ | |||
| 1年間の体重変化 | ☆ | |||
| 食べ方 | ☆ | |||
| 食習慣 | ☆ | |||
| 飲酒 | ☆ | |||
| 飲酒量 | ☆ | |||
| 睡眠 | ☆ | |||
| 生活習慣の改善 | ☆ | |||
| 保健指導の希望 | ☆ |
| ○…必須項目、□…医師の判断に基づき選択的に実施する項目 ●…いずれかの項目の実施で可 ☆…情報を入手した場合に限り医療保険者に報告する項目 * 原則として空腹時血糖もしくはHbA1c であり、食事を摂取してきた場合はHbA1c を測定するのが基本であるため、医療保険者が健診を実施する場合は確実にいずれかを検査できるが、労働安全衛生法に基づく健診(事業主健診)結果を受領する場合で、事業主の実施項目が空腹時血糖のみ(食事摂取を前提としていないため)の場合に、万が一健診実施日に食事を摂取してきた時の採血結果は空腹時血糖ではなく随時血糖となってしまうことから、その場合の検査結果を収録できるように(空腹時血糖欄に食事摂取後の値を格納すると混乱が生じるため別途記録欄が必要)、また特定健康診査以外の追加健診項目としても実施される可能性があることから、健診データファイルには随時血糖の欄も設けている。なお、事業主健診の結果を医療保険者が受領した時に、血糖検査が随時血糖のみの場合は、別途医療保険者で血糖検査のみ実施し補う必要がある。 |