労災:多発性骨髄腫と悪性リンパ腫、2疾患を対象に 原発の被ばくで−−厚労省方針
 ◇30年ぶり追加

毎日新聞 2009年7月11日
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090711ddm003040089000c.html


 厚生労働省は、労災対象とする放射線起因の疾病リストに、新たに多発性骨髄腫と悪性リンパ腫を加える方針を固めた。国内外の最新の知見を考慮した結果で、原発による被ばく労働などで両疾患にかかった場合、円滑に労災認定されることになる。今年度内にも正式決定する。

 リストは労働基準法施行規則で78年に定められた。白血病、肺がん、皮膚がんなど5がん疾患を例示しており、追加は初めて。リストの専門検討会(座長=桜井治彦・中央労働災害防止協会技術顧問)が10日開かれ、2疾患を入れることを事務局の厚労省側が提案し、異論は出なかった。

 検討会で説明した放射線医学総合研究所の明石真言・緊急被ばく医療研究センター長によると、国内外の原子力施設、医療被ばく、原爆の影響についての最近の論文を検討。その結果、多発性骨髄腫は被ばく量が多いと発症も増える関係が認められた。悪性リンパ腫は、放射線起因性のある白血病と類縁疾患にあたり、合理的なデータや根拠が示された論文があるという。

 多発性骨髄腫では04年に男性(当時78歳)が、悪性リンパ腫では08年に男性(死亡時53歳)が、それぞれ労災認定された。2人とも各地の原発などで被ばくしたが、認定の前例がなく、患者側、厚労省側の双方が研究論文などを集め、長時間審議した経緯がある。

 疾病リストが設けられたのは主に、発症した労働者が労災と気づきやすくするため。認定審査する労働基準監督署も、追加リストに注意することになる。

 厚労省の76〜08年度の統計では、放射線起因の労災認定は計48件ある。【大島秀利】